よりみちだらけの広東語学習ブログ

広東語・普通話の学習記録と中国・香港・台湾のあれこれ

【4】中国語って?-北京語・台湾語・広東語の違い(3)

【香港】→広東語(繁体字

 香港はイギリスに99年租借され1995年に中国に返還されました。

返還されましたが、中国の一省と同じ扱いになったわけではなく、中国⇔香港はイミグレーションがあり出入国手続きをしなければ行き来できません。(調べるまで全く知らなかったので一番驚いたことなんだけど、これもう違う国じゃん。)

 

公用語は英語と広東語。使用する文字は繁体字

この辺が混乱の元で、知恵袋なんかを見てると広東語はあくまで方言としているものが多いが、公用語なのである。そして普通話と広東語は結構違う。どっちかができるからと言ってもう片方が自然に分かるわけではない。(なんとなく似てる単語を断片的に拾うことは出来るが、恐らくそれではカタコト以下のレベル)

 

香港のテレビやラジオは広東語で放送されています(普通話チャンネルもある)。

教育は小学校まで広東語で行われ、中学校からは「英語で授業をする学校」「広東語で授業をする学校」に分かれる。(大体富裕層は前者へ、貧困層は後者へ)。

学校では普通話の授業も行われるが、それこそ日本でいう第二外国語みたいなもので、よっぽど情熱的に取り組まない限りネイティブレベルまでは身には付かないようである。中国人と香港人がやりとりをするとき、普通話、広東語では全く意思疎通できないので英語で会話するという話も耳にしたこともありますし。

大学での講義は英語、広東語、普通話それぞれで行われるので、自分ができる言語で開講されているクラスを取る。

 

という前提が分かったところで、普通話と広東語が違うというのはどれくらい違うのか。

私の探し方が悪かったのかもしれないけど、とにかくもう「方言みたいなものだ」という説明ばかりが引っかかって具体例が全然出てこない。腹が立った。

 

私が知りたいのは、方言は方言でもそれがどれくらい通じるかなんだってば!

 

ということで、百聞は一見に如かずであるのでここに載せて置きます。

 

日本語     

普通話     

広東語

 

【日】こんにちは(コンニチハ)    

【普】你好(ニーハオ)    

【広】你好(ネイホウ)

 

【日】さようなら(サヨウナラ)    

【普】再见(ツァイジェン)    

【広】再見(ジョイギン)

 

【日】もしもし(モシモシ)    

【普】喂(ウェイ)    

【広】喂(ワイ)

 

【日】ありがとう(アリガトウ)    

【普】谢谢(シエシエ)    

【広】多謝(ドージェ)

 

【日】おいしい (オイシイ)   

【普】好吃(ハオチー)    

【広】好味(ホウメイ)

 

【日】私は日本人です(ワタシハニホンジンデス)   

【普】我是日本人(ウォシーリーベンレン)   

【広】我係日本人(ンゴハイヤップンヤン)

 

【日】よろしくお願いします(ヨロシクオネガイシマス)   

【普】请多多关照(チンドゥオドゥオガンジャオ)   

【広】請多多指教(チェンドードージィガウ)

 

【日】私はあなたに電話します(ワタシハアナタニデンワシマス)   

【普】我给你打电话(ウォゲイニーダディェンファ)   

【広】我打電話俾你(ンゴダーディンワベイネイ)

 

普通話にしろ広東語にしろ発音をカタカナで正確に表すことは出来ないのであくまで参考程度に。

 

 

ここに挙げた例文を見ると、例えば你好、再見、喂なんかは字がそのままで読みが違います。

つまり、文の書き方は同じで字に振られた読みが違うのかな…と思うわけである。

 

しかし、谢と謝、我日本人と我日本人のように、似てるようで部分的に違う単語もあります。

ならば文法が同じで単語は違うときも同じときもあり、読みは異なるのか?

 

と思うと「我打电话」「我打電話俾你」のように文法が違うものもあります。

ちなみにこれは、

我=私は

打电话(打電話)=電話する

给你(俾你)=あなたに

という意味である。

あなたに、の部分が動詞(打)の前に来ていたり後ろに来ていたりするのである。

 

 

もし普通話と広東語のどちらかしかできなかった場合、

 

【普】请多多关照(チン ドゥオ ドゥオ ガン ジャオ)   

【広】請多多指教(チェン ドー ドー ジィ ガウ)

 

この二つは耳で聞いた響きがなんとなく似ているので意味を察することができるかもしれない。

 

でも、

【普】再见(ツァイ ジェン)  

【広】再見(ジョイ ギン)

 

発音があまりに違いすぎますよね…これは聞いても分からないでしょう。

 

結構似ているところもあり、全然違うところもある。

 

なるほどー…だから普通話と広東語の違いはなかなか日本人に知られないんでしょうね。ああややこしい…。

 

 

そういえば先日テレビアニメ「ちびまる子ちゃん」で、香港からやってきた女の子がまる子たちに中国語を教えてくれるというお話があり、彼女が教えてくれたのは「谢谢」という簡体字を使った普通話の単語だった、、香港人なのに!?と物議を醸す事件があったそうな。

 

香港でも普通話が通じないわけじゃないですが、SNSなどで香港人の方たちと交流していると「私たちは中国人じゃない!」「香港は中国じゃない!」という主張をよく耳にします。

政治的なところなのであまり一方的な見方はできませんが、少なくとも香港人には香港人アイデンティティがあり、こういうところで知識や配慮がないと自分の意図に反して彼らを傷つけてしまいかねない。ってことですね。

 

まとめとしては、「方言みたい」という説明が的外れなわけではないが、個人的には「似ている別の言語」という印象を抱きました。