よりみちだらけの広東語学習ブログ

広東語・普通話の学習記録と中国・香港・台湾のあれこれ

【3】中国語って?-北京語・台湾語・広東語の違い(2)

まず最初に結論をまとめると、

 としておきましょう。以下に細かい解説をします。

 

【中国】→普通話簡体字

中国といっても広い。ロシアとの国境(北部)とベトナムとの国境(南部)では気候も文化も全然違うし、沿岸部(東部)とウイグルなど(西部)でも全然違う。そもそも日本が何個入るんだってレベルの大きさなんだから文化圏という意味では国がたくさん集まってるようなものである。つまりそれだけたくさんの言語があるのです。

(例、広東語・上海語・閩南語・福建語・客家語チベット語・現代ウイグル語・チャハルモンゴル語

 

よほどの言語マニアなら全部覚えればいいだろうけど、そんなの時間がいくらあっても足りない。一番効率的なのは、テレビなんかでよく使われている普通話=標準語を覚えること。

これが日本で一般的にいう「中国語」であり、特に断りのない限り「中国語教室」とか「中国語のテキスト」ってのは全て普通話です。

 

普通話は北京方言を基に制定されましたが、北京だけでなく観光客が行くような街は基本的にはこれでいけるみたい。農村部だと普通話ができない人(老年層など)もいるけど、大体は周りに普通話ができる人(若年層)がいるので通訳してもらえばいい。

 

ただし、中国の中でも新疆ウイグル自治区チベット自治区などは公的機関・高度教育を受けた人を除きほぼ普通話が通じないようです。(内モンゴル自治区に関しては、漢民族の占める割合が非常に大きくモンゴル語使用人口が少ないため普通話が通じるっぽい)

 

使用する文字は簡体字

これは1950年代に制定されたものなので、それ以上の年代の人なら日本で使っているような漢字が理解できるかもしれない。

 

 

【台湾】→普通話繁体字) 

台湾では一般的には普通話(文字は繁体字)が使われています。

国民党軍が台湾に逃れてきて樹立した政権「中華民国」がいわゆる台湾というわけですが、それ以前から台湾に住んでいた人々を「本省人」、中国大陸から新たに移ってきた人々を「外省人」と呼びました。

 

超おおざっぱに分けると本省人が使っていた原住民の言語が台湾語であり、外省人が使っていた言語が普通話。(ただし本省人というのは一民族ではなく、比較的近い時代に中国大陸から移ってきた人々、東南アジアから数百年年前に移ってきた人々…集落ごとに違う部族、違う言語を使っていたため客家語とかホーロー語とか閩南語とかいろいろあります。一番メインなのが台湾語、くらいに思っておきましょう)

 

現在では混血により本省人外省人の区別はほとんどなくなり、テレビや公共の場で使用される言語は普通話に統一されています。(台湾語などのチャンネルもあります)

 

地方都市の老年層は台湾語を話す人もいるようですが、普通に観光していて訪れる範囲なら普通話で全く問題ありませんし、最近は台湾語が分からない若者も増えているようです。日本で言う琉球語みたいなものなんですかね

 

ただしいわゆる「普通話」のことを台湾では「國語」と表記します

 

中国本土と同じ漢字に同じ読みを当てているわけなので会話は問題ありませんが、文字は繁体字です。これは中国語の項で書きましたが、1950年代に共産党簡体字を制定した→そのころ国民党は台湾に移っていたので「知らんがな!ウチは今まで通りで行くで!」ってことですかな。

 

台湾語普通話の違いについては私はあまり知らないので詳しく書けませんが、簡単な言葉を挙げるとこんな感じみたいです。(台湾語は文字がないそうで、耳で聞いたのをそのままカタカナにしてみます。)

 

日本語   

普通話   

台湾語

 

【日】こんにちは   

【普】您好(ニンハオ)    

【台】リーホウ

 

【日】ありがとう   

【普】謝謝(シエシエ)    

【台】ドーシャ

 

【日】さようなら   

【普】再見(ツアイジエン)   

【台】ザイゲン

 

【日】おいしい   

【普】好吃(ハオチー)   

【台】ホージャ

 

【日】いくらですか?   

【普】多少錢(ドウオシャオチエン)   

【台】ワーゼージン

 

【日】私は日本人です   

【普】我是日本人(ウオシーリーベンレン)   

【台】ワーシーリップンナン

 

また、台湾はかつて日本に統治されていた時代があったわけで、その影響か一部の日本語が台湾語・台湾華語(後述)に取り入れられている事例が見られます。

 

例えば「お父さん!」という呼びかけは普通話では「爸爸(バーバ)」です。

台湾でも「爸爸(バーバ)」で問題ないのですが、言い換え表現として「多桑」があります。

「多桑」の読みは duo san

→ ドゥォ サン → ドォサン →トーサン→ 父さん

 

そう、日本語の「父さん」がそのまま当て字になっているのです。

 

台湾で出版された小説なんかを読んでいるとこれが出てきて、当然普通話の教科書には載っていないので????となります(笑)

 

少し大きな書店なら、日本でも台湾語のテキストを購入することができます。

 

 

 

そして台湾の言語について考えるうえで注意しておきたいことの一つに「台湾華語」があります。

旅行するなら台湾語より台湾華語を知っておいた方がいいと思う!

 

中国本土と同じ普通話(國語)でも、国民性や環境の違いゆえか言葉選びの違い・言葉のニュアンスの違いがあるんですって。

 

最もよく言われるのが、レストランなんかで店員さんを呼ぶとき。

中国では「服務員!」

台湾では「不好意思!

 

「~はどこですか?」と聞くとき

中国では「~在哪儿?」

台湾では「~在哪裡?

 

朝の挨拶

中国では「早上好!(早!)」

台湾では「早安

 

ダメ!

中国では「不行!」

台湾では「不可以!

 

名前のわからない女性に呼びかけるとき

中国では「美人!」

台湾では「小姐!

 

もちろん同じ言語の中のニュアンスの違いなのでどちらの国でもどちらの言い方も通じますが、(あっ、その言葉を使うってことはどこどこの人だな!)くらいは分かるらしい。

そして中国と台湾のそれぞれに対する感情って、必ずしもよいものとは限りません。

あくまで一例ですが、台湾の飲食店で店員さんに向かって「服務員!」と呼びかけたら同行の台湾人に止められたとか、周りのお客さんにジロジロ見られたという話を聞きます。

 

とは言っても、まあそんなに神経質になることはないでしょう。

他者に対して相手がどんな言葉を使ってどういう態度をとるってのはその人の人間性の問題ですから、「絶対台湾華語を使わないとダメ!」なんてことはないですよね。

知っていたらより現地の人とコミュニケーションしやすい、程度に考えて置けばいいんじゃないでしょうか。

 

私が言いたいのは「こうしなきゃいけない!」ってことではなくて、中国に行くなら中国のことを、台湾に行くなら台湾のことを知って、過去にどういうことがあったのか、その国の人たちがどんなことに対してどんな印象を抱くのかを配慮してみるが訪問者の礼儀なんじゃないかな。ってことです。 

 

 

 4 中国語?-北京語・広東語・台湾語の違い(3)に続く